ハーレクイン・シリーズ

      
      愛と憎しみのギリシア      
    
    
    
          両親の葬儀が終わったあとも、レイチェルは墓地にたたずんでいた。義父の親族の、蔑むような視線がいまなお胸を締めつける。義父マサイアスは、欲深い妻によって破滅したも同然だった。そしてレイチェルは、その妻の娘なのだ。そのとき、セバスチャンの姿が目に飛び込んできた。親族の中で、彼だけがやさしくしてくれた。何年も前から、レイチェルはそんな彼に心を寄せるようになった。「心からお悔やみを申しあげるわ」レイチェルは思わず声をかけた。彼も、親しいマサイアスの死に打ちひしがれているように見えたからだ。だが、こちらに向けられたセバスチャンの冷たい目を見て息をのんだ。
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    - 頁数
- 160頁 / 新書判
 
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    - 発行日
- 2011年03月05日
 
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      - 著者
- ルーシー・モンロー
 
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      - 訳者
- 八坂よしみ
 
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    - 定価
- 713円(税込)
 
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    - ISBN
- 978-4-596-73876-9
 
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    - 書籍番号
- C-876 (初版R-2094)
 



アメリカ、オレゴン州出身。二〇〇五年二月にR-2022「許されない口づけ」で日本デビューを果たすと、たちまち人気作家の仲間入りをする。愛はほかのどんな感情よりも強く、苦しみを克服し幸福を見いだす力をくれるという信念のもとに執筆している。十三歳のときにロマンス小説と出合って以来、ロマンス小説の大ファン。大学在学中に“生涯でいちばんすてきな男性”と知り合って結婚した。十八歳の夏に家族で訪れたヨーロッパが忘れられず、今も時間があれば旅行を楽しんでいる。