ハーレクイン・シリーズ
運命の鎖
帰る場所も生きる道も失った私に、彼は何度も優しさをくれた——。
領主館に勤めるスザンナは、敷地内の小さな家でおばと暮らしていた。だが最愛のおばが亡くなったとたん、くびを宣告されたうえに、半月のうちに家も明け渡すよう命じられてしまう。かつて孤児となったスザンナを、おばは温かく迎え入れてくれた。以来、この家は唯一、心から安らげる場所だったのに……。退去までにすべきことをスザンナが紙に書き出していたそのとき、目の前に、おばの最期を看取った外科医ガイが現れる。初対面では冷たい印象だった彼が、今は気遣う表情を見せている。その瞬間、必死にこらえていた悲しみがあふれ出し、スザンナの青白い頬を、大粒の涙が静かに伝っていった。
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- 頁数
- 160頁 / 新書判
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- 発行日
- 2025年11月05日
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- 著者
- ベティ・ニールズ
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- 訳者
- 鈴木のえ
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- 定価
- 740円(税込)
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- ISBN
- 978-4-302-10391-1
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- 書籍番号
- R-4012 (初版R-856)
イギリス南西部デボン州で子供時代と青春時代を過ごした後、看護師と助産師の教育を受けた。戦争中に従軍看護師として働いていたとき、オランダ人男性と知り合って結婚。以後14年間、夫の故郷オランダに住み、病院で働いた。イギリスに戻って仕事を退いた後、よいロマンス小説がないと嘆く女性の声を地元の図書館で耳にし、執筆を決意した。1969年『赤毛のアデレイド』を発表して作家活動に入る。穏やかで静かな、優しい作風が多くのファンを魅了した。2001年6月、惜しまれつつ永眠。