ハーレクイン・シリーズ
純愛の城
18歳の出会いと別れ、そして嘘。その代償は、あまりにも大きかった。
亡くなった祖父母の遺灰を故郷のシチリアの教会に埋葬する——ルイーズにとって、それはどうしてもかなえてあげたい願いだった。でもまさか司祭ではなく、シーザーに会うことになるとは思わなかった。彼は地元で権威を誇る公爵家の当主。埋葬には彼の許可がいるというのだ。教会でシーザーを前に、ルイーズは思わず逃げだしたくなった。10年ぶりの再会だった。彼には今、大人の風格と厳しさが備わっている。18歳のわたしが一夜をともにした、若き日のシーザーではない。彼はルイーズの申し出を聞いたあと、また会う約束をしながら、すべてを見通したような陰りのある目で、去り際に言った。「きみとはまだ話しあうべきことがありそうだ」【ベスト作品コンテスト2012年下半期 第8位入賞作】
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- 頁数
- 160頁 / 新書判
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- 発行日
- 2012年12月20日
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- 著者
- ペニー・ジョーダン
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- 訳者
- 霜月桂
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- 定価
- 723円(税込)
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- ISBN
- 978-4-596-12808-9
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- 書籍番号
- R-2808
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1946年にイギリスのランカシャーに生まれ、10代で引っ越したチェシャーに生涯暮らした。学校を卒業して銀行に勤めていた頃に夫からタイプライターを贈られ、執筆をスタート。以前から大ファンだったハーレクインに原稿を送ったところ、1作目にして編集者の目に留まり、デビューが決まったという天性の作家だった。2011年12月、がんのため65歳の若さで生涯を閉じる。晩年は病にあっても果敢に執筆を続け、同年10月に書き上げた本作『純愛の城』が遺作となった。