ハーレクイン・シリーズ
頬を染めた幼な妻
伯爵がわたしをこの地に何カ月も、何年も引きとめるつもりだとしたら……。
アンダルシア上空を飛ぶヘリコプターの中で、フランシスはただ呆然とするばかりだった。眼下には、広大な自然保護区が広がっている。あそこでわたしは絶滅に瀕したワシの繁殖を研究するはずだった。なのに土地を所有する伯爵に、こうしてどこかへ連れ去られている。やがて着いた壮麗な屋敷に、彼の強引な歓迎の言葉が響く。「しばらくのあいだ、きみは我が客人として過ごすことになる」ここは昔、伯爵の先祖が愛妾のために建てたという館──。ロマネス伯爵が彼女を妻にと目論んでいることなど露知らず、フランシスは、傲慢な征服者の手に落ちていた。
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- 頁数
- 160頁 / 新書判
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- 発行日
- 2015年10月20日
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- 著者
- マーガレット・ローム
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- 訳者
- 茅野久枝
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- 定価
- 723円(税込)
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- ISBN
- 978-4-596-13106-5
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- 書籍番号
- R-3106
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戦争による家庭の崩壊や自身の大病などを経て、毎日をただ生きているだけの生活に疑問を持った。闘病中の読書の習慣がやがて執筆活動に至った。登場人物の織りなすあや、会話の妙に特色がある。ハーレクインの黎明期を支えた作家のひとり。